大嫌いだって愛しい
「お前が晃に本気なら俺は何も言わねぇ」
「は?」
あまりに予想外な言葉に私からは気が抜けた声が出る
だって
敵同士が付き合ってるんだよ
何で怒らないの
あのマンションでの時も
どうして?…
「あいつ変わった。今までは何してても冷めてたのに 最近やたら楽しそうなんだ」
あれで楽しそうなの?
何かいっつも冷めてる感あるけど
「晃には両親がいねぇんだ、だから今まで人に関心なんて持つような感情なかったけど、
この前 お前といる時は違った」
「え…」
「いっつも遊びでしか女といない晃が、俺に向かって真剣に付き合ってるって言ったから」
そう言った武藤は空になった缶をゴミ箱にむかって投げた。
「俺はあいつには幸せでいてほしいんだ。凛魁の総長だからじゃない、一人の友達として願ってる」