怪異

起

この出来ごとに出会ったのは一ヶ月前に、ある男性が私に依頼をしにきた事から始まった。

その頃、私は民俗学の研究に没頭していた。
このある男とは私の友人の友人らしく、友人から私を紹介されたらしい。

私が家で、ある裏ルートから仕入れた書物を読みふけっていた時、急に玄関のチャイムが鳴り響いた。

「ピンポン、ピンポン、ピンポン…」

私はそんなに押さなくても…と思いながら、誰だろうと玄関の覗き穴を覗いてみた。

「ウワッ！」

その男がなんと私が穴から見ているのに気付くや、いきなり玄関に近付いて覗き返してきた。

私は驚き、尻餅をついてしまった。

その男は今度は玄関を直接ノックするなり、

「早く開けて下さいッ！　誰か来るッ！」

私はただごとでは無いと思い、玄関のドアを開けた。

男は開けるなり、突っ込んで入ってすぐドアの鍵を締めた。

「大丈夫ですか？　何があったんですか？」
少しおどおどしながら聞くと、


「私は去年恐ろしい事をしてしまいました。　助けて！」

彼を中へ誘い、詳しく話しを聞く事にした。
詳しく聞くと、

「去年、私は家族で初日の出を見るために、近くの山に行きました。　そして無事、日の出を見た私達は下山をしました。　その時です。 あの恐ろしい声が聞こえたのは…」

「あの声ですか？」　
私がそう聞くと、彼は少し言いかけた後、急に震え出した。

そしていきなりこう叫び暴れだしたのである！