怪異
彼の家は一戸建てで、どこにでもあるような一般の家だった。

彼は結婚しておらず、一人暮らしだそうだ。
なんでも昔は妻と2人だったが、書物にお金を惜しまない彼に愛想を尽かし、出て行ったらしい。

家に入るなり、私はその書物の多さに度肝を抜かれた。

玄関には何冊か散らばっており、客間の本棚にところ狭しと書物が並べてあった。


「ちょっと待ってて下さい。 お茶を持って来ますので…。 好きに見ていて下さい。」
私は民俗学の研究をしているが、こんなに凄い人が居たのかと驚いた。

あらゆる地方の風土記やよくわからない宗教の書物などどれも私の興味をそそるものだった。

「オークションでたまに出てたり、裏ルートなどから仕入れたりするんですよ。 一番は友人などからですが…」

私は持つべき物は友だと改めて関心した。

「ちょっと自分も忘れてしまったので、一緒に探してもらえますか?」

私は自分の関心があるものから調べた。
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