魅惑のヴァンパイア
「おいおい、マジになるなよ。触れてないさ、安心しろ」


 それでもヴラドの睨みは治まらない。


「シャオンに手を出すな」


「分かったよ、お前がそう言うなら出さない」


「本当だな?」


「本当だ。まだ死にたくないからね」


 ヴラドはピーターの眼をじっと見て、やがて元の蒼い瞳に変わった。


 ……ふう。


刺激的だが、余りにも危険過ぎる。


 全く、お前をここまで夢中にさせるなんて……少し妬けてしまうよ。


「子猫ちゃんを……ヴァンパイアにはしないのか?」


 ヴラドは一瞬黙ってから、「ああ」と小さく呟いた。


「死なせてもいいのか?」


死の呪い。


ヴァンパイアと人間が愛することを禁じた魔法。


フッ…とヴラドは笑った。
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