魅惑のヴァンパイア
「あいつ……生来の女好きそうだし、今回も私が一肌脱いであげるわよ」


 エリザベスは、ヴラドの首に腕を絡ませた。


その様子を遠くで、ロード伯爵が舐めるような目つきでエリザベスを見つめていたことに気が付いた。


しかし……。


「止めておけ。今回の相手は危険すぎる」


「そんなこと言って。私に褒美をあげるのが嫌なのね。前はあんなに深く愛してくれたのに」


 ……愛? あれが、愛? 


ただ身体を重ねただけの行為だ。


愛は……もっと深く切ない。


「あの、小猫ちゃんのせいなの?」


「まさか、アレはペットだ。最近しつこいぞ」


 エリザベスの射るような眼差しを避け、背を向けた。


先日、ピーターに言われた言葉を思い出した。


シャオンをヴァンパイアにする……。


ヴァンパイアにすれば、俺が人間の女に惚れたと公言するようなものだ。


だが……。


 
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