魅惑のヴァンパイア
「ヴァンパイアに、ならないか?」


シャオンは大きく瞳を見開き、自ら首に絡めた腕の動きが止まり、所在なげに落ちていった。


「……え?」


「ヴァンパイアになれば、人間の何倍も長く生きられるんだ。悪い話ではないだろう?」


 シャオンはヴラドの目線から顔を背け、オロオロと目を泳がせた。


「……醜い怪物になるかもしれないんでしょう?」


「俺の力は強い。醜くなどさせない」


 ……自信はあった。


根拠のない自信ではあるが。俺の元に置き続けるためには、この方法しかない。


危険な賭けであることには違いないが。


「ヴァンパイアになったら……私はずっとヴラドの側にいなくちゃいけないんでしょう?」


 一緒にいるのが嫌そうな口ぶり。


分かってはいるが、胸が痛んだ。

< 156 / 431 >

この作品をシェア

pagetop