魅惑のヴァンパイア
「分かった。お前の命が尽きるまで、俺はお前の側にいよう。儚い命を俺に捧げろ」


 ――側にいたくないと言われても、離れることなど出来なかった。


どんなに傷つけても、側に置いておきたかった。


それがどんなに自分の我儘だと分かっていても。


「私の命はヴラドに買われたの。命が尽きるまでどう使おうと、ヴラドの自由だよ」


 溢れた涙は、頬を伝って、柔らかく微笑む唇に吸い込まれていった。


「そうだ……お前は、俺の物だ。俺の胸で命を果たせ」


 シャオンをぎゅっと抱きしめ、塩気の含んだ唇に唇を重ねた。


漆黒の空が、霞始めていた――

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