魅惑のヴァンパイア
冷たい指先の感触で、目が覚めた。
「ん……ヴラド?」
目覚めると、ずっと待ち望んでいた人が隣にいた。
良かった、来てくれた。
「遅かったのね」
嬉しいのに、そんな言葉しか出てこない。
私はなんて可愛くない女の子なのだろう。
「俺は忙しい」
「……いつもそればっかり」
ヴラドは私の言葉に気にもかけず、唇を押し付けてきた。
……いつも、そればっかり。
それでもキスされただけで許してしまう私。
きっとずっと、何をされても許してしまうのだと思う。
「ヴァンパイアに、ならないか?」
突然言われた言葉。
甘さに浸っていた脳内が、急に青ざめる。
ヴァンパイア?
本気で言っているの?