魅惑のヴァンパイア
「私、ヴァンパイアにはならない」


「なぜだ。人間のままでいたら、あっという間に歳を取り、死んでしまうのだぞ?」


「……私、死にたいの」


 自分の気持ちも言えない、一生報われることのない想いなら、いっそ死んでしまいたい。


「ヴラドの側に……居たくないの」


 涙が溢れてきた。


今日のように、毎日嫉妬と心配を繰り返す日々なんて……。


 側にいたい。本当はずっと側にいたい。


でも、私を見てはくれないんでしょう? 


私を愛してはくれないんでしょう? 


あなたの背中を追い求める永遠なんて、余りにも辛すぎる。


「分かった。お前の命が尽きるまで、俺はお前の側にいよう。儚い命を俺に捧げろ」


「私の命はヴラドに買われたの。命が尽きるまでどう使おうとヴラドの自由だよ」


 殺されたって構わない。


私の命と、私の想いは全てあなたに捧げたの。
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