魅惑のヴァンパイア
なんだか頭がボーっとする。


昨日はヴラドが来るのが遅かったからかな?


 眠い……最近いつも。


それに、なんだか気持ち悪いし。


「お食事をお持ちしましたよ」


 バドが朝食を抱えてやってきた。


けれどもうお日様が上に昇っているから、昼食かな? 


上半身だけ起したまま、バドにおはようと挨拶をした。


「おやおや、まだ起き上がっていないのですか? よく眠るお姫様ですね」


 バドはサイドテーブルにお盆を乗せると、細い目をさらに細くさせて微笑んだ。


「うん……疲れているだけだと思うけど」


 むっとするご飯の匂い。


湯気を吸い込んだだけで吐いてしまいそう。


元気のない様子を見て、バドは私の額に手を乗せた。
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