魅惑のヴァンパイア
それから数時間後に、医者と名乗る老婆が来た。


私の身長の半分くらいしかない背丈で、体に比べて大きな顔と、綿毛のような白髪が際立って見えた。


「どれ、お腹を出してみぃ」


「お腹?」


 どうしてお腹なのか分からなかったけれど、とりあえず、ベッドに座ったまま布団をどけた。


ワンピースを着ていたので、お腹を出してしまうと下着まで見えてしまう。


お婆さんの後ろで立っているバドが気になって、スカートを上げるに上げられない。


困っていると、「そのままで良い」と言って、服の上からお腹を触診した。


 バドは固唾を飲んでお婆さんの後ろ姿を見つめていた。


 ちょっと気持ち悪いと言っただけなのに。


なんだか気詰まりさを感じながら、萎れた手の平を見つめた。


「うむ……間違いない、懐妊じゃ」
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