魅惑のヴァンパイア
王暗殺
四方の壁に掛けられた燭台が、赤紫色に輝き、簡素な書斎を照らしていた。
蔓に囲われた灰黒色の洋館の、最上階の一番奥の部屋に書斎はある。
深い森の奥に囲まれた洋館は、まるで幽閉された塔のようだった。
大きな部屋の中の、一番奥の窓際に、黒い大きな机が一つ。
周りを取り囲むように並べられた本棚は、彼の努力の証に見えた。
「ふう」
ヴラドは雑多に広がる書類から目を離し、大きなため息をついた。
ここ最近ずっと、秘密の洋館に篭り、情報収集や警護の支持など寝ずの仕事が続いていた。