魅惑のヴァンパイア
闇の秘密結社
ピーター・オルレアンはうんざりしていた。
どこに行っても「ヴラド伯爵はいないか」と聞かれ、その度に「なぜ僕がヴラドの居場所を知っている。僕はあいつの恋人か」と言わなければいけないからである。
風の噂で聞いた王の暗殺。
まだ公にはされていないが、ここ数日ヴラドがいなくなったことと関係しているのではないかと思った。
余りに焦った様子で、何度も様々な人に聞かれるので、ピーターは、こっそり森に隠された洋館に探しに行った。
ここならいると思っていたピーターは、会ったら沢山文句を言ってやろうと意気込んでいた気持ちが萎えた。
蔓に囲われた薄暗い洋館は、夜会会場よりもヴラドが突然いなくなったことに動揺していて、収拾がつかない様子だったのである。
これにはさすがの能天気ピーターも不安を隠しきれず、高台の丘に行くことにした。
(子猫ちゃんに近づけば怒られると思って、ヴラドの家に行ってなかったが……。
今は非常事態だ。
行った所で怒られまい。
いや、むしろ、僕が怒ってやる。
お前のせいでここ数日僕がどんなに迷惑しているか延々と愚痴ってやるぞ!)
ピーターは、赤髪とオレンジ色のマントを翻し風に乗った―――
どこに行っても「ヴラド伯爵はいないか」と聞かれ、その度に「なぜ僕がヴラドの居場所を知っている。僕はあいつの恋人か」と言わなければいけないからである。
風の噂で聞いた王の暗殺。
まだ公にはされていないが、ここ数日ヴラドがいなくなったことと関係しているのではないかと思った。
余りに焦った様子で、何度も様々な人に聞かれるので、ピーターは、こっそり森に隠された洋館に探しに行った。
ここならいると思っていたピーターは、会ったら沢山文句を言ってやろうと意気込んでいた気持ちが萎えた。
蔓に囲われた薄暗い洋館は、夜会会場よりもヴラドが突然いなくなったことに動揺していて、収拾がつかない様子だったのである。
これにはさすがの能天気ピーターも不安を隠しきれず、高台の丘に行くことにした。
(子猫ちゃんに近づけば怒られると思って、ヴラドの家に行ってなかったが……。
今は非常事態だ。
行った所で怒られまい。
いや、むしろ、僕が怒ってやる。
お前のせいでここ数日僕がどんなに迷惑しているか延々と愚痴ってやるぞ!)
ピーターは、赤髪とオレンジ色のマントを翻し風に乗った―――