魅惑のヴァンパイア
†第五章† 王位継承

重なる想いすれ違う身体

ヴラドはどこに行ったの? 


友達でさえ知らないなんて……。


大きすぎる寝室に、一人で寝そべり、ヴラドのことを考えていた。


ヴラドに会わないと寝付けない。


子供みたいだと笑われそうだけれど、会いたくて、会いたくて仕方がない。


 一人の夜は孤独だった。


寂しくて、不安で、怖くて……どうにかなってしまいそうだった。


それでも気を確かに保てたのは、お腹に感じる命の芽吹き。


自分の命を失わせる存在であるのに、愛おしくてたまらなかった。


 私は産んですぐに死ぬのかな? 


わが子を抱きしめる前に……。


この子が笑う顔を見ることはできない。


この子が泣いている時、私は慰めてあげられない。


そう思うと、胸がひどく痛んだ。

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