魅惑のヴァンパイア
「王になど、なりたいと思ったこともなかったし、なる気などなかった。しかし、これ程順調に王位継承できるとは、何か踊らされているような気がしてならないな」


「いえ、他の王子と比べて、政治力、生まれ持ったお力、誰もが口を挟めない圧倒的存在感でした」


「当たり前だ」


ヴラドは謙遜することなく言い放った。


その姿にラシードは頼もしさを感じ、嬉しさで顔が自然と緩んだ。


「さて、本題の死の呪いについてですが……」 


ラシードの言葉に、自然と背筋が伸びる。


「呪いの解き方が分かったのか?」


「はい、長年それを最大の目標として、研究してきましたゆえ」


 死の呪い。


長きに渡って人間とヴァンパイアを苦しめた呪いが解かれる……。


ヴラドは鳥肌が立つのを感じた。
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