魅惑のヴァンパイア
ヴラドは最悪の方法に言葉を失った。


その様子を見たラシードが、ハッとして慌てて言葉を発した。


「我々も必死で研究してきたのですが、それだけはどうしても分からず……。ですが、必ず方法はあるはずです!」


「ああ、そうだな」


 ヴラドは抑揚のない声で言った。


「それで、代々伝わる石とはなんだ? そんなもの貰ってないぞ?」


「推測するに、冠に飾られている正面の一番大きなルビー石だと思われます」


 なるほど、あれか。


ヴラドは戴冠式で無理矢理被せられた、重く窮屈な冠を思い出した。


そういえば、やけにでかでかと輝いていた石があった。
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