魅惑のヴァンパイア

「今日は日が沈むまでここにいられるんだ。何をしようか？」


朝食を食べ終わると、ヴラドが嬉しそうに微笑んだ。


「本当！？　即位したばかりで忙しいんじゃないの？」


「まぁ、明日からはまた会えなくなるだろうな」


　その言葉を聞いて、ガクンと肩が落ちた。


　今日だけなんだ……。


まるでうたかたの夢のよう。


「ヴラドは私の出産にも立ち会えないかもしれないんだね。私はもうすぐ死ぬというのに」


　思わず口に出してしまったことに、ハッと後悔した。


　今まで上機嫌だったヴラドの顔が一瞬で曇ったからだ。


「お前を死なせないと言っただろう？」


　怒っているような低い声。


咎められているようで、恐かった。


「お前は安心して子を産むと良い。そのために俺は王になったのだから」


「でもっ！　死の呪いを解くにはヴラドは死界に行かなければいけないんでしょう！？　そんなの死にに行くのと一緒じゃない！」