魅惑のヴァンパイア

ヴラドは一瞬驚いた顔になって、それから冷徹な瞳を向けた。


「……その話、誰から聞いた?」


 凍るような冷たい眼差しに、心臓が縮むようだった。


 けれど、精一杯の勇気を出して、食いかかった。


 ヴラドが死んでしまうことの方が、怖いから。


「ピーターさんに……。ねぇヴラド本当なの? 死界に行くって。そんな危険なことしないよね!? しないと誓って!」


 ヴラドは私を見つめ、口を閉ざした。


 お願い……行かないと誓って……。


祈るような気持ちで、ヴラドの次の言葉を待った。


「今日、死界へ行く」


 ……世界が一瞬にして、氷ついたようだった。
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