魅惑のヴァンパイア
「見事でしょう? これは研究所で作られた薬を使っているのです。まあ、ある程度力を持つ者じゃないと、身体が拒否反応を示し、死んでしまうので誰にでもできるわけじゃないというのが、欠点ですが……」


 金髪の青年は、同じ顔を持つ人物を誇らし気に眺めながら言った。


「誰にでもできるようになったら、この世界は終わりだぞ」


 ヴラドは怪訝そうな顔色を見せた。


「それよりも、早く始めようか。じらされるのは嫌いなんだ」


もしかしたら死んでしまうかもしれないのに、早くやろうと急かすヴラドに、ラシードは驚きと共に感動をおぼえた。


 ――さすがは王になられた御方だ。こんな時でも堂々としている。恐いという気持ちはないのだろうか?


 ラシードはヴラドをまじまじと見詰め、畏敬の念を持たずにはいられなかった。
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