魅惑のヴァンパイア
「分かりました。それではもう一度確認いたしましょう。ヴラド様が宝玉を呑み込み、仮死状態になられたら、ヴラド様に化けたルースカが、ヴラド様が目覚めるまで王の代役をする……」


 ヴラドが少し心配そうな顔で、同じ顔をしているルースカを見つめた。


「大丈夫ですよ。ルースカは武術の心得は少ないものの、こと政治に関しては右に出る者はおりません」


 ラシードはルースカを自慢気に紹介した。


「では俺がもし帰ってこなくても、ルースカに任せれば大丈夫だな」


「ご、ご冗談をっ!」


 今まで黙っていたルースカが真っ青になって反論した。


「ハハっ!その様子じゃ王は務まらんな。もっと偉そうにしていろ」


 ヴラドは、大役を担うことになったルースカの肩を叩き、緊張を解きほぐそうとした。
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