魅惑のヴァンパイア

ペットとご主人様

暗黒色で塗られたような、暗闇の世界。


私の身体以外何もない。孤独な世界……。


「お父さん? お母さん?」


どんなに心細くても、どんなに声の続く限り叫んでも、あるのはただ闇の世界だけ。


広大な宇宙空間に、一人置いてきぼりをされた気分だった。


「真央……」


聞き慣れた優しい声がした。


体育座りをしながら、泣いていた顔を見上げると、遠くにお父さんとお母さんの姿があった。


「お父さん! お母さん!」


立ち上がり、近付こうと走っても、お父さんとお母さんの姿は遠くなるだけだった


「待って……! ねえ! 行かないで!!」


 どんなに叫んでも、手を伸ばしても、お父さんとお母さんは、ただ笑って遠くなっていく……。


「嫌よ! 一人は嫌! 置いてかないで!」


お父さんとお母さんは、泣き叫ぶ私をただニコニコと見つめ消えていった。


「お父さん! お母さん! いやぁーー!」

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