魅惑のヴァンパイア
「さぁ早く遠くに行かないとな。子猫ちゃんは風を使えないし……。かといって妊婦を走らせるわけにも……」


「馬車で行きましょうか?」


「馬車か……。多少目立つが、仕方ないだろう」


「では、急いで用意してきます」


 走って取りに行こうとした途端、バドは邪悪な気を感じ、立ち止まった。


 ピーターも感じ取った様で、二人で目を合わせた。


「……僕が見てこよう」


 ピーターはマントを翻して、一瞬で風に消えた。


「あれ!?」


 シャオンは突然消えたピーターに驚いて、周りをキョロキョロと見渡した。


 幾万にも及ぶ邪悪な気が、どんどん近付いてきているのを、バドは感じ取っていた。
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