魅惑のヴァンパイア
†第七章† 生と死

最期の決断



燃え盛る炎。


私達をあざ笑うかのように、王妃の高笑いが丘にこだましていた。


「家が…家が……」


 力なく地面に座り込んで、あっという間に炎に囲まれた洋館を見つめた。


 この家は……この家はヴラドが帰ってくる場所なの。


 ここがなければ、ヴラドが帰ってきてもどこで出会えばいいの?


 ステンドガラスの内側が赤い炎で照らされている。


 時を過ごした寝室が燃えていく。


 ヴラドと愛し合った思い出の場所が……。


 燃えていく屋敷を見つめて、もう二度とヴラドとは会えないような気がした。


 ヴラドはもう、帰ってこないような気がして、自然と頬に涙が零れ落ちた。


「おい!そんな呆けている場合じゃないぞ! 逃げるんだ」


 ピーターが私の腕をとって無理矢理立たせた。


「……逃げるといっても、どこに?」
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