魅惑のヴァンパイア
「まさか、お前達があの闇の秘密結社?」


 ピーターが前に出て、ラシードに尋ねた。


 ラシードは肯定を表す笑みを浮かべた。


「遅くなって申し訳ありませんでした。まさかこんなに早く私達の変身の術が見破られるとは思っていませんでしたので……」


「いや、有難い。君達が来てくれたおかげで一筋の光明が見えたよ」


 ピーターからもやっと、心からの微笑みを浮かべた。


「安心するのはまだ早いですよ。これだけの敵の数……全て倒すなんて不可能です。相打ちに持ち込もうとしても無理でしょう。なんとか逃げ場を作るくらいしか……」


「逃げ場ができるだけで充分です」バドが言った。


「そうだな。本番は……これからだ」


 ピーターの顔も険しくなり、辺りはピリっとした緊張感に包まれた。
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