魅惑のヴァンパイア
運命の出会い
目が覚めると、牢獄にいた。
窓一つない閉ざされた空間。
人が一人やっと寝られるくらいの広さで、目の前には太くて頑丈そうな鉄格子が並んでいた。
床は、砂が混じった赤墨色のコンクリートで、夕立後のような、むっとした湿っぽい匂いがした。
私は腕を使って起き上がり、不安で目を泳がせた。
どうしてこんな所にいるのか、見当もつかなかった。
心臓の動きが速くなっていく。
この状況が、夢の続きではないことが分かると、途端に恐ろしくなってきた。
少しだけ、頭が痛い。
長時間寝すぎた後のような、ズキンズキンと鐘が鳴るような痛さだ。
私はこめかみを指先で押すようにして抑えた。