魅惑のヴァンパイア
「……いいことを思いつきました」


「え?」


 私を守るためバリアを張り、戦闘に参加していなかったバド。


 後ろ姿しか見えないので、その顔の表情は見えなかったけれど、嬉々とし決意を込めた声色だった。


「ピーター様っ!」




 大声でバドが叫んだ。
 ピーターは、なんだよこんな時に、という面倒くさそうな表情をして、渋々戻ってきた。


「要件なら早く言えよ。こうしている間にも仲間が大勢死んでいくんだ」


「もちろんです。シャオン様を遠くに連れていってほしいのです」


「……は?」


 そんなことできたら、最初にやっていただろう! という抗議の顔を浮かべるピーターに対し、バドはにこやかに続けた。
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