魅惑のヴァンパイア

「だが……」


「後のことはわたくしにお任せくださいませ。
王妃達にシャオン様がいなくなったことが知られれば、すぐに風の匂いを辿って追ってくるでしょう。
そんなことはさせません。
シャオン様の無事が確認できればわたくし一人で彼らを抹殺致します」


「そんなことが……いや……お前まさか……」


　バドはニコリと笑ってピーターを見た。


ピーターの青ざめた表情に、嫌な予感が胸をよぎった。


「バド……？」


　心配そうに見つめる私に、バドは振り返って優しく微笑んだ。


「シャオン様は何も心配いりません。良いお子を産んでください。ご主人様を頼みましたよ」


「どうしてそんな最期みたいなこと言うの？」


バドは目を細めて、寂しそうに微笑んだ。


ドクン、ドクンと大きく鳴る心臓の音が耳に聞こえる。


バドの顔を見れば見るほど、不吉な気持ちは増していく。


「バド？　ねぇバド？　私が行ったら、すぐにバドも来るんでしょ！？」