魅惑のヴァンパイア
小さな竜巻が、足元に発生した。


そして風が、私たちを取り囲むように回転していった。


バドの後ろ姿が歪んでいく。


バドは振り返り、ほんの一瞬笑った。


その、不器用な微笑みで。


優しい微笑みで。


バドの口元が動いた。


さようならと言った気がした。


風が舞いあがり、竜巻に身体が包み込まれていく。


私は朦朧とする意識の中で、バドに向かって手を差し出した。


全然、届かない。


バドが遠い。


バドがいってしまう。


嫌だ。


死なないで。


死なないで、バド……!


景色が薄れていく。


ぐるぐると視界が回転していき、やがて頭と景色が真っ白になって、そして私は気を失った―――
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