魅惑のヴァンパイア
ピーターは、ああ良かった、と安堵の表情を浮かべ、力尽きたように座り込んだ。


「これで僕が二人でも飛べるってことが証明されたな。こりゃこれから女の子を口説く時に使えそうだぞ」


ピーターはニヤニヤしながら言った。


まったくこの人は……。


少し呆れながらも、こんな冗談が言えるということは、あの絶望的な状況から助かったのだと実感した。


「私はどれくらい気を失っていたんですか?」


「半日以上……かな?」


「そんなに!?」


 言われてみれば、朝日が輝き森を照らしていた。


コートを羽織っていると暑いくらいだった。


「魔界でも、暖かい日はあるんですね」


「いや、ここが特別暑いんだよ。普通なら僕達は昨晩凍え死んでいたさ」


 魔界でも、土地によって気温が違うことがあるのだろうか。


 私は魔界について知らないことがありすぎる……。
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