魅惑のヴァンパイア
その先には大きなブラックホールのような何十キロにも渡って焼け焦げた土地があった。


 まるで、核爆弾が落とされた跡地のよう。


「あれは?」


「あれが僕らのいた場所さ」


「え……?」


 自分の耳を疑った。


 何もない焼け焦げた跡地。


 小高い丘に立っていた屋敷も、周りを囲んでいた木々も、戦闘の爪痕さえ残っていない。


 全てが黒い煤と化していた。


 ドクンと胸が大きく鳴った。


尋ねるのが怖い。


「……何が…起こったんですか?」


恐怖で唇が戦慄いていた。


ピーターは何もなくなった跡地をじっと見つめながら、口をゆっくりと開いた。


「分からない。僕が目覚めた時には、もうこの状態だった。けれど……この爆発を生み出したのは恐らくバド自身だろう」


「バドが? じゃあバドや助けてくれた皆さんは?」


「これ程凄まじい威力だ。恐らく生きてはいないだろう」


「そんな……」
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