魅惑のヴァンパイア
「おい! 見つけたぞ!」


後方から声がした。


びっくりして振り返ると、「おお! いたぞ! こっちだ、こっちだ!」と数人の男の人がこちらを指差していた。


 ピーターが身構える。


「シャオン様! ピーター様!」


 木々の隙間から現れたのは、金色に輝くブロンドの髪だった。


「ラシード!?」


 ピーターが驚き叫ぶと、ラシードは端整な顔をさらに笑顔で輝かせた。


「まさかこんな所にいるとは……。探しましたよ。無事で何よりです」


「お前ら本当にラシード達か? バドの爆発に巻き込まれて死んだはずじゃ……」


 ピーターは、まるで幽霊でも見るような目で彼らを見た。


ラシードは一瞬微笑んでから、やがて神妙な顔付きになって語りだした。


昨晩の、あの出来事を。
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