魅惑のヴァンパイア
ラシードとピーターが前を歩き、私はその後ろをトコトコと付いていった。


 他の者達は私の後ろを歩き、前と後ろで完全護衛されていた。


「いやぁ、まさかこんな所にいるとは思いませんでしたよ」


ラシードは隣を歩くピーターに向かって言った。


「ここはどこなんだ? こんな所見たこともない」


「ここは私達の居住区です。本来なら結界が張ってあって入ることはできないはずなんですが……」


「神に助けられたかな?」


「運の強いお方ですね」


 二人は短時間ですっかり仲が良くなったようだった。


 私は会話に入れず……また、入ろうともせず、ただ黙って後ろに付いていった。
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