魅惑のヴァンパイア
ラシードの顔から微笑みが失せ、じっとシャオンを見つめた。
ルースカから聞いた話は、にわかには信じられないことだった。
――ヴラドの身体が消えた。
心臓だけを動かし眠りに落ちたヴラドの身体がなくなっていた。
王がヴラドではないと露呈してから、ヴラドの身体は王の寝室からこの塔に速やかに運ばれていた。
しかしそれが、あの混乱の最中に消えたのである。
どこにいったのか。それは誰にも分からない。
盗まれたのか。
それとも身体ごと死界へ行ってしまったのか。
生死さえも分からない状況を、信頼していた執事の死で憔悴しきっているシャオンに伝えるには憚れた。
ルースカから聞いた話は、にわかには信じられないことだった。
――ヴラドの身体が消えた。
心臓だけを動かし眠りに落ちたヴラドの身体がなくなっていた。
王がヴラドではないと露呈してから、ヴラドの身体は王の寝室からこの塔に速やかに運ばれていた。
しかしそれが、あの混乱の最中に消えたのである。
どこにいったのか。それは誰にも分からない。
盗まれたのか。
それとも身体ごと死界へ行ってしまったのか。
生死さえも分からない状況を、信頼していた執事の死で憔悴しきっているシャオンに伝えるには憚れた。