魅惑のヴァンパイア
「これは私たちが長い時間をかけて作ったもの。
短い時間しか死界に行けないのと、行ったとしても死界の長に会うことができないので、使えなかったものです。
次にまた、これと同じ物を作るには、何十年も時間がかかるでしょう。

その意味が分かりますね?」


 私はラシードの瞳を見て、しっかりと頷いた。


 ラストチャンスということだ。


しかも、たった一人しか死界に行けない。


その一度きりのチャンスを、ラシードは私にくれるというのだ。


 怖くはなかった。


死界がどんな所だって、必ずヴラドを見つけ出してみせる。


そして私が、ヴラドをあの不気味な物体から助け出すんだ。


「死界には、さまよえる魂が漂っている場所があると聞きます。

もしも、悪霊や怨霊の類に出くわしたら、これで追い払うといいでしょう」
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