魅惑のヴァンパイア
「キャアア!」


 思わず叫び、尻餅をついた。


黒い手は、私の足首を掴み、引きずりこもうとする。


「嫌ぁっ!」


 私はパニックになって、必死に黒い手を払いのけようと、持っていたペンライトで黒い手を叩いた。


 すると、光を浴びた黒い手は、みるみるうちに腐り、白骨化し、弱々しく闇の水面に消えていった。


「はあ、はあ、」


 座り込みながら、荒い息を吐いた。


心臓がドンドンと太鼓を叩くように激しく鳴っていた。


黒い手がいなくなって、ようやく何が起こったのか理解したら、恐怖が倍になって襲ってきて、涙が溢れてきた。
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