魅惑のヴァンパイア
「さすがヴラド様のお子様です」


 ラシードは自分が褒められたかのように、得意気に言った。


ラシードはヴラドによっぽど心酔しているように見えた。


「そうだ! ヴラド様とは会えましたか!?」


「うん、会えたよ」


 私の言葉に結社の人々は「お~!」と歓声をあげた。


「で、死界の長には会えたと言っていましたか!?」


 ラシードが瞳を輝かせて聞いてきた。


「あ……」


 結社の人達も、身を乗り出して私の言葉を待っている。


「聞いてくるの、忘れちゃった」


 私の言葉に、ラシードと結社の人達は、瞬き一つせずに固まった。


「え……、じゃあ、死の呪いが解かれたかは聞いてこなかったのですか?」


「……うん。忘れてた」


 ラシードの口元がピクピクと動く。


「ご自分の命に関わることなのに?」


「ああ、そうだった!」


 私の反応に、ラシードたちは顔を見合わせて苦笑した。
< 382 / 431 >

この作品をシェア

pagetop