魅惑のヴァンパイア
「お食事です。シャオン様」


シャオン? 


ああ、そういえばあの人が言っていた。


『お前は今日からシャオンと名乗れ』って。


「あ、あの……あなたは?」


「ご紹介が遅れましたね。わたくしはバド・ツェリス。ヴラド・ツェペシュ様に仕える執事でございます」


「ヴラド……チャペス……?」


「ツェペシュでございます」


ツェペシュ……噛みそうな名前。


にっこりと間違いを否定されて、私は恥ずかしさを感じた。


「ご主人様から聞いておられませんか? あなたの世話係のバドでございます」


「ああ、言っていたような……」


お父さんとお母さんが死んだって聞いて、他のことは全部すっ飛んでいた。
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