魅惑のヴァンパイア
 開いたドアから、ギョロリとした大きな瞳が顔を出した。


「全く困った男じゃ」


「入れてくれるのか!?」


「お主だけだ。他の者は入れさせぬ」


「もちろんだ」


 中の様子が見えないように、ヴラドは身体を横にして慎重に中に入った。


「ヴ……ラド?」


 白い帳で覆われたベッドの中からか細い声がした。


「シャオンっ!」


勢いよく入りたい気持ちを抑え、そっと帳を開き中に入った。


帳の中には、二人の若い女(恐らく出産を手伝ってくれたのであろう)と、幸せそうに微笑むシャオン。


 隣には真っ白い毛布で包まれた、小さな小さな赤ん坊がいた。


血が落ちきってないのか、身体全体が赤い。


目をぎゅっと瞑り、小さな手を握りしめながら、勢いよく泣いている。
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