魅惑のヴァンパイア

生意気な天使


―――――五年後


「――真央ぉ! 真央っ!」


 洗濯物を畳んでいると、玄関から私を呼ぶ声がした。


「あれ!? もう帰ってきたの!?」


「ああ、撮影が早く終わったからな。それより怜央(レオ)が家の前の公園で――ゴンっ!!」


「ヴラド!?」


 鈍い音がしたので、慌てて様子を見にいくと、ヴラドが部屋の入り口の所で頭をぶつけていた。


「ヴ、ヴラド……? 大丈夫?」


 一応大丈夫? とは言っているけど、内心では笑いを堪えるのに必死な私。


 だって何回も同じ所で頭をぶつけているから。 


 一日に一回はぶつけているんじゃないかな?


 ヴラドは無表情(というかちょっぴり怒った顔)で、身動き一つしないでじっと前を見ていた。


 ……たぶん、痛みを堪えているんじゃないかな? ぷぷ。
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