魅惑のヴァンパイア
 ヴラドは私の腕を取って、物欲しそうな上目遣いを見せた。


 うぐ……かっこいい……。


 言いなりになってしまいたい欲望が出てくる。


でも……。


「ダァメっ!」


 私はヴラドの手を振り払って、外に出た。


 私達の家は集合タワーマンションで、その下にマンションの住人が遊ぶための大きな公園がある。


 怜央は来年小学生だから、遊びはもっぱら住人の子供達とその公園で楽しんでいる。


 大抵、側に大人の人(子供達のお母さん。ほとんど顔見知り)がいるし、いつもそこで遊んでいるから心配いらないと思うんだけど……。


 私に何も言わないで遊びに出掛けたっていうのがいけない!


「おい! 真央! 俺も行く」


 後ろを振り返ると、ヴラドが追ってきていた。


 なんだかんだ言って、ヴラドも心配なんだね。


 ヴラドが追い付くのを待ってから、二人で歩き出した。
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