魅惑のヴァンパイア
人間界でヴラドは、ルーマニア人とのハーフってことにしている。


どうしてルーマニアなのかは、ヴァンパイア伝説発祥の地だから。


ずっと外国にいたから、日本のことは余り詳しくないってことにして、大抵のこと(文化とか慣習とか)は上手くごまかしている。


 ヴラドの仕事は、吸血鬼伝承をテーマにして研究するお仕事。


 表向きは本などを執筆している知的有識人なんだけど、裏の顔は、魔界の秘密結社に人間界の情報を与える、いわゆるスパイみたいな活動をしている。


 人間界に伝わる吸血鬼のイメージは、魔界で暮らすヴァンパイア達とは異なることが多いらしくて……。


「永遠の若さだの、殺しても死なないだの、怨霊や悪魔のような扱いをされているし、十字架やにんにく、太陽が苦手だなんて馬鹿げている。


確かに魔界の住人は夜に活動するが、朝の光を浴びただけで苦しむなんて、何て非力な生き物だと思われているんだ。


けしからん話だ」


と言っていた。
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