魅惑のヴァンパイア
「ねぇヴラド。どうして私にシャオンって名付けたの?」


 最初の頃、嫌で嫌でたまらなかった仮の名前。


 飼っていたペットと同じ名前で、私はペットとしてしか見られてないんだと思っていた。


 好きなのに、好きと言えなかった。


 シャオンと呼ばれる度、私を見てくれていないと、勝手に思っていた。


 私は真央。


 真央なの……。


お願い、私を見て……と。


「親父が、母さんのことをシャオンと呼んでいたんだ」


「お母さんの名前なの!?」


「いや、母さんの名前は李姫(りき)というらしい。でも、母さんが育った地域では、恋人や娘、愛しい人のことを、愛情込めてシャオンと呼ぶらしいんだ」
 

愛しい人……。


 シャオンの名前にそんな意味があったなんて。
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