魅惑のヴァンパイア
「それがずっと頭にあって……。
飼っていたペットにその名前をつけたのは、ただの戯れだ。

いつか、愛する人ができたら呼ぼうと思っていたが、全く使える日が来なくて、仕方ないから猫につけた。
それだけだ。
だが、真央の場合は違うぞ? 

出会った瞬間に思った。
俺の『シャオン』を見つけた……と」


 胸が、熱くなる。


あの時、ヴラドも感じていたの?


 私と同じ想いを。理性では止められないほど、強い気持ち。


 一瞬にして感じた、運命の人。


「俺は最初から真央に告白をしていたんだ。名前を呼ぶ度、愛していると伝えていた」


 恥ずかしそうに微笑むヴラド。


 私、全然気付かなくて……。


 愛されていないと思っていた。


 愛してはいけないと思っていた。


 苦しくて、苦しくて。


 それでも、どうしようもなく好きで。


 朝目覚めるたびに、シーツの温度に絶望して……。
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