魅惑のヴァンパイア

渡された新聞に目を落とす。


ドクン、と大きく胸が鳴った。


嫌な胸騒ぎが全身に駆け巡る。


震える手で、新聞をめくった。



　【飛行機墜落　乗客全員死亡】


一面に大きく書かれた見出し。


頭の中が、一瞬で真っ白になった。


『本日のメイーッンイベントォ！　先日の飛行機墜落事故で奇跡的に助かった少女でぇす！』


甲高い声をした小男が言った言葉が、頭の中でリピートされる。


あの言葉が本当だとすれば、私だけ助かったってこと？　


こんな、悲惨な事故で、私だけ……。


足に力が入らなくなって、崩れるように絨毯の上に座った。


『お前の両親は……死んだ』


さっきヴラドが言った言葉が耳元で聞こえるようだった。