魅惑のヴァンパイア
……死んだ? 死んだ?


絶望の二文字が身体に巻き付いて、重たいコンクリートの足かせを填められたかのように、深く、深く、暗い底に沈められていく。


叩き付けられた現実。


頭の中がぐちゃぐちゃで、わけが分からなかった。


最後に見た、赤い閃光。


死の前振り。


あれが、最後になるなんて。


「ひっ……うっうっ……」


嗚咽を堪えて、身体中の水分が無くなってしまうくらい泣いた。

       
……泣くことしか、できなかった。


信じたくなかった。


信じられるはずがなかった。


こんなこと、誰が信じられるだろう。


でも、涙が止まらなかった。


泣いたら、お父さんとお母さんの死を認めるようで嫌だったけれど、一度溢れた涙は止められない。
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