魅惑のヴァンパイア

奪われた初体験

いつの間にか、泣き疲れて眠ってしまっていた。


寒気を感じて外を見ると、真っ暗になっていた。


今が何時なのかは分からないけれど、冷たい外気が、深夜であるということだけは教えてくれた。


すると突然、ドアがひとりでに開いた。


冷たい外気が、頬を撫でる。


コツンコツンと、不気味な革靴の足音が響いた。


ドアから現れた人物は、黒いマントを翻して、目だけを隠す仮面をつけていた。


「ヴラド……」


初めて会った時と、全く同じ仮面をつけて、部屋に入ってくるヴラド。


蒼い瞳で見つめられると、胸がドキドキと波打つ。


ヴラドは仮面を外し、コトリと棚の上に置いた。


昼間とは、若干雰囲気が違うヴラド。


なんだか恐さを感じた。
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