魅惑のヴァンパイア
「泣いていたのか?」


ギシリ、と音を立ててベッドの脇に座った。


細く長い指が、私の目尻をなでた。


独特の空気感に身が強張る。


恐くなって、白いワンピースの胸元をぎゅっと掴んだ。


覆い被さるように、ヴラドが近付いてきた。


「ヴ…ラド? ……んっ!」


突然のキス。


唇を強く押し付けられた。


最初、これがキスだと分かるのに時間がかかった。


キスなんて、私には縁のないものだと思っていたから。


唇と唇が触れ合っていても、何をしているんだろうと思った。


そして数秒後、これが世間でいうキスだと思いだす。


キスって……。


キスって、恋人同士がすることじゃないの? 


どうして私、キスされてるの?
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