魅惑のヴァンパイア
†第二章† 仮面舞踊会
シーツの温度
朝目覚めると、私は素っ裸で布団を被っていた。
ふと、ベッドの隣にある机を見ると、ビリビリに破かれたはずのワンピースが、新品の状態で置かれていた。
とりあえず着替えようと思って起き上がると、腹部に鈍痛が走った。
「痛っ」
昨日の夜の出来事が、夢ではないことを認識させる痛み。
「私……」
私、大人になっちゃったんだ。
わけがわからぬまま強引に。
大きなベッドは、私が寝ていた場所以外、ひんやりと冷たい。
昨夜はわけが分からなかった。
自分の身に起こっていることの意味を理解したのは、いつのタイミングだろう。
わけが分からないまま奪われて、わけの分からないまま気絶するように眠りに落ちた。