魅惑のヴァンパイア
ふ~ん、と私は言った。


ヴラドのことをもっと知りたいけれど、聞いたところで理解できる自信がなかった。


魔界のことはよく分からない。

ヴァンパイアのことも。


知ったところで、何ができるわけでもないし、私はヴラドと一緒の時間をもっと増やしたい。


それは贅沢すぎる望みなのだろうか。


「ねえ、バド。もう一つ、聞いてもいい?」


「わたくしに答えられることなら」


「……私のお父さんとお母さんは、本当に死んだの?」


私の質問に、バドは一瞬固まった。


私はバドを真っ直ぐ、真剣に見つめた。


瞳がゆらゆらする。


心臓がドクドクいって、指先が震える。


バドにも私の緊張が伝わったのか、バドも真面目な顔をして私を見つめた。


「ええ、残念ながら」


私はバドの言葉をゆっくりと飲み込んで、意味をしっかりと受け止めた。
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