魅惑のヴァンパイア
「どうした?」


ヴラドの低い声が私を包む。


「え?」


「目が赤い。泣いていたのか?」


私は言葉を詰まらせた。


まさか、気が付くなんて思わなかった。


「どうした? 何かあったのか?」


私を労わる言葉が出てくるなんて。


思わぬことに動揺して、頭が真っ白になった。


日中は、ヴラドに会ったら、その胸に飛び込んで思い切り泣きたい、なんて思っていたのだけれど、いざ目の前にしたらそんなこと恐れ多くてできない。


ヴラドを目の前にすると、緊張で固まってしまう。


一日毎に好きの気持ちが大きくなって、自分でもどうしたらいいのか分からなくなっていた。


まだ最初の頃の方が、上手く気持ちを言葉にできた。


でも今は、好きすぎて嫌われたくなくて、言葉を選びすぎて話せなくなってしまう。
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